「あなたって、不思議な人ね。」
今までにない褒め言葉だった。
母とその友人がお茶をしている間、私は黙って彼女らの会話を聞いていた。
ふとティーカップを置き、彼女は私を見てこう言った。
「さっきから何も言ってないけどちゃんと話を聞いてくれてるって、わかるの。とっても不思議。」
他の人にしてはたいした言葉ではないかもしれない。「不思議」なんて褒め言葉でもないかもしれない。でも私にはうれしい一言だった。
私はけして口数が多い方ではないと思う。できるだけ必要な時に喋るのだ。余計な事は言いたくない― だからゴシップなどは嫌いだ。
でも人の話は聞く。言葉が伝わらないという悲しみや辛さは人一倍わかるから、普段は人の話に耳をしっかり傾けるようにしている。
それに気づいてる人がいた。うれしかった。
だから「ありがとう」、って言った。
「必要な時」とは意見が違うとき。そうじゃない、って言いたい。
「必要な時」とは恋に落ちたとき。すきだよ、って言いたい。
「必要な時」とは間違えたとき。ごめんね、って言いたい。
「必要な時」とはうれしいとき。ありがとう、って言いたい。
ちゃんと聞けて、ちゃんと言える人間でありたい。


